こんにちは、弥生の開発本部でPMをしているシダです。
「弥生会計オンライン」の開発に携わっています。
システム開発においては、サービスプラットフォームやソフトウェア、フレームワークなど数多くの必要な要素があります。
本ブログでもそういった情報を多く取り扱っております。
ですが、仕事としてものづくりをするにあたっては「誰のために、どういった価値を届けるか」という点も重要だと私は考えています。
中でも「実際のお客さまの声」というのは「世に出したものがどう受け入れられたか」を知るうえで非常に大事な情報となります。
そういった背景もあり、私のチームでは今年から顧客サービス本部*1(以下、CS本部)との交流の取り組みを行っています。
以前から他のチームでも実践していたことなのですが、今年から私のチームでも開始しました。
過去に本ブログでも「弥生会計」開発チームの同様の取り組みを紹介しています。
tech-blog.yayoi-kk.co.jp
重複する内容もあるかもしれませんが、PMの目線、オンラインサービスの目線など、異なる目線でお伝えできることがあると考えたため、その取り組みについてご紹介したいと思います。
そもそものきっかけ
開発本部では2023年10月より「本部をまたいだコミュニケーション、意思決定の速度を向上させる」という目標を掲げていました。
その実現のために、他本部が通常業務で行っている内容を把握できるよう、以下のような施策を実施しています。
・開発本部内で実施しているLT大会に、他本部の方に特別講演という形で参加してもらう
・営業現場を知るため、パートナービジネス本部の会計事務所訪問に同行する
・他本部と意見交換や質疑応答を行う場を設ける
今回の「お客さまの声を聴く」施策も、この一環で企画されたものです。
「交流会」の実施
まずはCS本部のメンバーとのオンライン交流会の場を設けました。
弥生は日本各地に拠点がありますが、開発本部の拠点は東京、CS本部の拠点は大阪・札幌ということで、メンバー同士が直接を顔合わせる機会は殆どありません。
そのためZoomを用いてのオンライン交流会を行いました。
私はPMという立場上、CS本部の方とは定期的にコミュニケーションをとる機会があります。
ただ、それはあくまで各本部のリーダークラス同士の交流であり、現場に近い方とのコミュニケーションの機会は殆どありませんでした。
また、両本部の現場に近いメンバーは、そもそも部横断でのコミュニケーションの機会自体がありません。
そのため、普段は耳にできない現場レベルでの声を共有しあえる機会、という点において価値のある取り組みだと考えました。
私自身も、実際にお客さま対応をされている方と話すのは初めてであり、現場目線での話が聴けたのは非常にためになりました。
実際に上がった話の一例
良かった声
・サービスの初期化処理の動線を変更したことで、誤操作やお問い合わせを削減できた
・画面項目に説明(ツールチップ等)を増やすことでお問い合わせを抑制でき、お問い合わせへの回答も容易になった
・決算時における按分処理などの複雑な処理を自動で処理するようにしたことで、お問い合わせを抑制できた
課題を感じた声
・法令対応を行ったが、そもそも制度自体が非常に難解なため、お客さまへの説明が大変
・法令対応に伴い設定画面に項目を追加したが、それらをお客さまに理解してもらったうえで、正しいものを選択してもらうよう誘導するのが大変
・確定申告に必要な情報を入力する際には、必要な人に、必要な情報のみを見せるようにしたい
・確定申告が簡単すぎて、却って不安に感じているようなお問い合わせがある
良かった声については「対応して良かったな」と心から思いました。自分たちの作ったものが実際にお客さまや現場のメンバーの方々に受け入れられており、非常に嬉しく思いました。
一方で課題を感じた声については、今後どう解消していくか考えていく必要があります。お客さまの事だけでなく、お問い合わせ対応をするCS本部の方の事も考えたうえでの製品開発が必要だなと改めて感じました。
また、過去にCS本部から上がった要求について「本当にこの改善は効果があるのか…?」と内心思っていたものもあったのですが、それらがお客さまにどのような印象を与えているか、CS本部におけるお客さま対応にどう役立っているか、という点を聴けたのは非常に良かったです。
今まで以上に自信を持って開発に取り組めると感じました。
※余談ですが、会自体は非常にアットホームな雰囲気で進めることができました。製品品質やリリース頻度に対する不満などを受けることはなく、内心ホッとしました。
「顧客の声を聴く会」の実施
続いて、CS本部が実際にお客さま対応をした際の音声ログの視聴会を実施しました。
開発本部のメンバーは普段はお客さまの声を直接聴くことはありません。そのため実際のお客さまの声を聴くことで今後の製品開発に活かせないか、というのが目的です。
ここでは上がった声のうち2種類を紹介したいと思います。
・製品では対応していない機能への要望
お客さまの操作において「〇〇といった操作はできないか?」という声がありました。
現状対応予定がないもの、いずれ対応する予定は立っているもの、そもそも開発側で認知していなかったものなど、様々でした。
あくまで一部の声かもしれませんが、対応されていないことによる落胆される方や、逆に熱い要望を送って下さる方もおり、非常に考えさせられました。
とはいえ、あくまで一部の声であるため、すべてを安易に受け止めるのではなく『より多くのお客さまを幸せにするにはどうすればいいか?』はしっかりと考える必要があります。
こういった点はCS本部とも協力し、少しでも解消していくことが必要だと改めて感じました。
・製品仕様に対する質問
弥生のオンライン製品は「初心者にも使いやすく」をモットーにしています。そのため「操作説明やFAQを充実させる」「必要な箇所のみを入力させる」「迷いにくい画面構成とする」など、多くの工夫をしております。
ただ、それでも操作や仕様に関する質問はゼロにはなりません。
特に、昨年対応したインボイス制度*2については、製品内での説明を手厚くしたものの、やはりお客さまからは多くのお問い合わせが発生していることがわかりました。
インボイス制度への対応では、画面項目も新たに追加しております。
この対応は2年以上にも渡ったため、私を含めた開発チームはいつの間にか追加した画面項目に対してあまり違和感を感じなくなっていました。
が、音声ログを聞いたことで、それらがお客さまに驚きを持って迎えられたことを実感しました。
私も、慣れ親しんだwebページやアプリなどが急に変わったら大きく戸惑いますし、単純に使い慣れていないというだけで「分かりにくい、使いづらい」という印象を抱いてしまいます。
特に会計ソフトは個人事業主や法人のお客さまにとって『必ずしも、積極的に使いたいものではない』と考えています。可能なら本業によりリソースを割きたい、という思いもあるはずだと私は考えます。
そういった背景も踏まえると、機能追加によりお客さまが感じたストレスは相当のものであったはずです。
お客さまの目の前で起こっていたことを知るという意味で、大きな収穫のあった取り組みだと感じています。
所感
今回は2つの取り組みを紹介しました。
私自身はCS本部の代表の方とのコミュニケーションは頻繁にとっていましたが、実際の現場の声を聴くとまた違った刺激がありました。
また、普段CS本部とあまり接点がないメンバーにとっては、私以上に得られたものが多かったと考えます。
この取り組みを経て新たな刺激を受け、それを製品開発に還元してもらえれば、PMとしても非常に嬉しく思います。
まとめ
私の現在の役割は文字通り「プロジェクトマネージャー」の側面が強く、「お客さまのためにどういった製品を作るべきか」よりも「開発チームの成功」により重きをおいているのが正直なところです。
もちろん、それだけでは真に価値のある製品は作れないことは自覚しております。
ですがCS本部の存在により、お客さまが困っていること、お客さまが求めているものを間接的に知ることができます。
弥生のカスタマーセンターは業界でも随一の規模であり、また弥生シリーズの有償契約者数も100万件を超えています。
そういった多数のお客さまの声を聴き、製品開発に活かせることは開発側にとっても非常に大きいメリットです。だからこそ私も「開発チームの成功」に全力を注ぐことができています。
今後もこの強みを最大限に活かし、より多くのお客さまに満足してもらえる製品を開発していきます。
弥生では一緒に働く仲間を募集しています。
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