エンジニアがUIUX改善に取り組んで得た学び

この記事は弥生 Advent Calendar 2025の 4日目(シリーズ 1)のエントリーです。

こんにちは!SMARTチームでエンジニアをしている大内です。
普段は「スマート取引取込」の開発・運用に携わっています。

この1年私たちはこのプロダクトのUIUX改善に重点的に取り組んでいます。
この記事では、UIUX改善を手探りで実践していく中で得られた3つの大きな学びについてお話ししたいと思います!

私たちのプロダクト「スマート取引取込」

私たちが開発・運用している「スマート取引取込」は、日常の業務シーンで発生するさまざまな「取引データ」を「会計データ(仕訳データ)」に変換し、弊社の会計製品(弥生会計シリーズ・弥生オンラインシリーズ)に連携する役割を担っています。

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多様なデータの取り込み

銀行口座の入出金データやクレジットカードの利用明細データ、請求・販売管理システムのデータ、さらには領収書などの証憑データまで、多岐にわたるデータを「取引データ」として取り込むことができます。
弊社製品である「スマート証憑管理」や「Misoca」はもちろん、銀行口座やクレジットカードなどの金融機関、他社のPOSレジシステムなどと幅広く連携し、会計製品へのデータの入口としての役割を果たしています。

最小限のユーザー入力

取り込んだデータはスマート取引取込の自動仕訳機能によって処理され、お客様の入力の手間を最小限に抑えることができます。

弥生の会計製品がターゲットにしているスモールビジネスの皆様が、会計処理の煩雑な作業から解放され本業に集中できる世界を実現するために、「スマート取引取込」は欠かせないシステムです。

UIUX改善への挑戦

課題と背景

便利な機能や、多様なシステムとの連携を実現した「スマート取引取込」ですが、その半面、プロダクトとしての使いやすさはまだ磨き切れていない部分があり「便利そうだけど使ってみるのを躊躇してしまうお客様がいるのでは?」という声が社内からも上がっていました。

私たちは

  • プロダクト自体のポテンシャルをUIUXによって阻害している
  • お客様が本来本業に集中できるはずの機会を損失させている

という点に強く問題意識を持ちました。

そこで、今よりさらに多くのお客様に「スマート取引取込」の力を届けるべく、今年からUIUXの観点での改善に注力し始めました。

エンジニアだけのボトムアップチーム

この取り組みの特徴的な点は、「エンジニアだけのチーム」がボトムアップで改善を推進していることです。
チームにはデザイナーやプロダクトオーナーはおらず、私を含めバックエンド寄りのキャリアを持つメンバーで構成されています。

そのため、UX設計に関してはほとんどが未経験でした。

1年間の活動で得た3つの大きな学び

手探りながらも、個々の改善施策の中には改善傾向が見られた施策もあり(例:特定の機能の設定未完了率の低下、ガイド画面からの各機能への遷移率向上など)、
微力ながらも自信を持つことができました。

ただ、私がこの活動を通して得られた最も価値あるものは、

エンジニアとしてのプロダクトへの向き合い方の変化

だと思っています。

ここからは、この活動を通して私が特に大切だと感じた3つの学びを紹介します。

学び 1: 「何を作るか?」より「作ったものをお客様がどう使うか?」


施策を開始した当初、私たちはつい技術者目線で「どの画面のどこをどう直せばいいのか?」、つまり「何を作るか?」という議論からスタートしてしまっていました。

これは「ゴール(お客様の体験)がどこにあるかわからないままスタートを切っている状態」で、議論は空中戦になり時間ばかりを浪費してしまいました。

立ち返るきっかけは、弊社のValueの一つである「お客様視点で考えよう」でした。

エンジニアとして「何を作るか?」を考えるのではなく
「お客様がどう使うか?」「それでどういう課題を感じているのか?」 をスタートに
お客様の体験を起点に考えるようにマインドを切り替えていきました。

このことにより、問題点と改善の方向性がはっきりし、
結果的に「どの画面のどこをどう直せばいいのか?」に辿り着きやすくなったと思います。

学び 2: 課題を発掘する難しさと「言語化」することの重要さ


「お客様がどういう課題を感じているのか?」を考え始めたものの、
この「課題をつかむ」ことが、本当に難しい壁でした。

これは、お客様がプロダクトを使っている場面の解像度が低いためでした。

この解像度を高めるために以下のような活動を行いました。

疑似ユーザビリティテストの実施

チームに新しいメンバーが着任したタイミングを見計らって、疑似的にユーザービリティテストを実施しました。
実際にプロダクトを操作してもらい、その様子を観察し、操作に困っている箇所を炙り出しました。

ユーザーインタビュー議事録の読書会

他部署で行われていたユーザーインタビューを共有してもらい、お客様の業務内容やその中でプロダクトをどう使っているのか?どういうシーンで活用したいのか?についての知見を得ました。

カスタマーセンターからの問い合わせ対応時の「逆質問」

弥生ではカスタマーセンターでお客様からの問い合わせに対応しているのですが、技術的な調査が必要な場合は
カスタマーセンターから私たちエンジニアに調査依頼や質問をいただくことがあります。
調査や質問に対して回答をただ行うのではなく、問い合わせの背景やお客様がどのようなシーンでプロダクトを使っていたのかがイメージできない時は、
逆にカスタマーセンターの担当者に質問返しで状況を詳しく教えていただく、という行動を意識してみました。
これにより、お客様の使い方やプロダクトに期待していることについてさらに知見を得ることができました。

このような活動で少しずつ解像度を上げていくことで、「お客様の課題はこうじゃないか?」という仮説を立てて改善を検討できるようになりました。

さらに言語化

仮説として立てた課題はきちんと「言語化」することが大切でした。

「言語化できない=まだ解像度が低い」ということに気づくことができ、課題の深掘りにつなげられました。
また、言語化することは永続化することです。デザイン検討から開発、テスト、そしてリリースとフェーズが進んでも、言語化されたお客様の課題に立ち返ることができます。

学び 3: 「どう見せるか?」より「どう感じてもらうか?」


UIUX改善というと、つい「モダンなUIに思い切って変えよう」といった、見た目に関する議論を想像しがちです。

しかし、この1年の取り組みを振り返ってみると、見た目を良くすることよりも「お客様が何を課題と感じ、改善を通して最終的にどう感じてもらえるようになるか」という体験全体を考えることの方が多かったと思っています。

ボタンの色や配置を変えるのは「UI」ですが、仕訳送信までの操作が分かりづらいというお客様の課題に対して仮説を立て、取り除くことで、スマート取引取込を使って楽に会計製品に仕訳データを連携できたという体験を感じてもらうことが「UX設計」なのだと理解しました。

お客様に「使いやすい」「これなら本業に集中できる」と感じてもらうために一番大事なのは、お客様が最終的にプロダクトをどう使ってどう感じるか?を徹底的に突き詰めることなのだと実感しています。

さいごに

このUIUX改善活動は、今後も継続していきます。

プロダクトが使いにくいためにスマート取引取込の持つポテンシャルがお客様に届かない、そのせいでお客様が本業に集中できる機会を損失させているとしたら、
それは何よりもつらいことです。

これからも、お客様の解像度と改善プロセスをさらに磨き上げ、プロダクトの成長とお客様の本業への貢献に邁進していきたいと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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