Devinがシニアエンジニアレベルへ、自律エージェントの今——Cognition Merge Tokyo 参加レポート

Cognition Merge: Tokyo — April 9, 2026

エンジニアの関口です。2026年4月9日に開催された Cognition Merge Tokyo へ参加してきました。Devinを開発するCognition社が日本法人の設立を発表した記念すべきイベントです。基調講演からライブデモ、パネルディスカッションまで密度の高い一日でした。現場で感じたことを中心にまとめます。

どんなイベントだったか

会場は終日満席で、エンジニア・プロダクトマネージャー・経営層と幅広い層が集まっていました。Cognitionの共同創業者や開発エンジニアが直接登壇し、Devinの最新状況をデモを交えて共有するスタイルです。

セッションは大きく「Devin自体の進化」「エンタープライズでの活用」「日本市場への向き合い方」の3つのテーマに沿って構成されていました。

Devinの進化:半年でジュニアからシニアへ

CognitionのRussell Kaplan氏の基調講演で印象的だったのは、Devinの成長速度を示す数字の数々です。

オンデマンドでエージェントを並列起動できる自律型の運用を実現したことで、生産性が6〜12倍に向上したという報告がありました。また、Devinによるプルリクエスト数が人間エンジニアの年間合計を上回ったとのこと。ここ半年でのキャパシティの広がりが、データとして示された形です。

続くライブデモセッション(Prem Nair氏)では、半年前はジュニアエンジニアレベルだったDevinが、今はシニアエンジニアレベルに到達したという発言がありました。

グリーンフィールド開発(greenfield development)とは、既存のレガシーや本番コードへの依存を抑え、新規プロジェクトとしてゼロから設計・実装を進める開発スタイルを指します。イベントでは、この領域でDevinが扱えるスコープが広がり、複数チケットの並列処理も可能になっている点が示されました。

サブエージェントによるオーケストレーション

デモで特に注目したのは、親エージェントが子エージェント(サブDevin)を束ねて協働する仕組みです。

単純な並列処理ではなく、互いの依存関係を把握しながら協働する点が重要です。featureブランチごとにサブエージェントを割り当て、親エージェントが全体の進行を管理する。チームのような動き方を1つのDevinセッションで実現していました。

常時稼働エンジニアリング(Always-on Engineering)

人間が関与しなくても継続的に動き続ける仕組みも紹介されました。

  • スケジュール機能:フィーチャーフラグの削除PRを指定日時に自動作成・マージまで実行
  • Devin Review:脆弱性を検出してバグフィックスPRまで完結。公開前の脆弱性情報を先取りして検出した実績あり
  • Snyk統合:週次のセキュリティスキャンを定期実行。追加した言語の依存関係チェックも自動で走る

エンジニアがいない時間帯にも品質維持の活動が回り続ける、というイメージです。

パネルディスカッション:エンジニアの仕事はどう変わるか

「インターネット → スマートフォン → 生成AI」という技術変遷の文脈で、今回のAI普及の特徴が整理されました。コンシューマ向けから始まり、チャット → 自動化 → ソフトウェア開発と広がってきた結果、エンジニアがAIの恩恵を最も受ける存在になりつつあるという見立てです。

HowからWhyとWhatへ

パネル全体を通じて繰り返されていたのが「HowはDevinに任せ、WhyとWhatにエンジニアが集中する」という方向性です。

具体的に求められる資質として挙がっていたのはこんな点です。

  • 意思決定の「なぜ」を言語化できること
  • ブラックボックスを作らない。アーキテクトとしての判断を記録・説明できること
  • バイブコーディング(雰囲気でAIに書かせる)は後から収拾がつかなくなるというリスク認識

コードを書く速度よりも、何を作るべきかを決める力と、AIの出力を正しく評価できる知識が重要になるという話は、自分の日々の仕事とも重なりました。

日本特有の課題

日本のソフトウェア開発環境についての議論も活発でした。

  • 経営層のITリテラシーが低く、AI活用のビジョンが描けていない
  • アウトソース文化が根強く、ドメイン知識が社内に蓄積されにくい(人月モデルの慣性)
  • 品質思考とドキュメント文化は強みになり得るが、まだ活かしきれていない

「AI活用を進める前に、組織のリデザインが必要」という指摘は耳が痛い部分もありつつ、的を射ていると感じました。

Cognitionの日本市場へのコミットメント

セッション終盤には、Cognitionの日本法人の設立が正式に発表されました。

日本向けの取り組みとして挙げられていたのは以下の3点です。

  • 日本語の文脈や開発フローを製品ロードマップに組み込む
  • 日本語サポート窓口の整備による安心感の提供
  • パートナーエコシステムの整備

参加者からは「コミュニティを充実させてほしい」という声も複数上がっており、製品だけでなく日本のエンジニアコミュニティとの接点を作っていく方向性が伝わってきました。

ブース・グッズも充実していた

セッション以外の話も少し。

会場では自分の名前入りカードを作れるブースがあったり、首から下げるストラップのクオリティもしっかりしていて、これまで参加してきたイベントの中でもつくりのよさが際立っていました。

グッズも充実していて、ベースボールユニフォームやDevinマスコットのぬいぐるみまで。物販でここまで楽しめるイベントはなかなかありません。持ち帰るものが増えるのも、イベントの熱量の高さを感じる部分でした。

弊社でのDevin契約・プランの経緯

2025年5月 から試験運用が始まった段階では、まず限られた範囲で手触りを確かめ、レビューやタスクの切り方、どのリポジトリから載せるかといった前提を揃えるところからでした。

同年9月 からアカウントを配布し、利用者を広げていきます。 途中で運用ルールやセキュリティ上の整理も並走しましたが、結果として現在ではエンジニア全員(業務委託の方を含む)へのアカウント配布が完了しています。個人のコーディング補助にとどまらず、仕様のたたき台や調査、Pull Requestを介したやり取りなど、チームの共通ツールとして使われ始めた、という感触です。

アカウントや接続リポジトリを増やすほど、 1つの仮想環境に載せるデータ量が膨らみ、ストレージの観点で単一環境だけでは足りない状態 に近づいていきました。 プランの枠組み上、環境の切り方や上限をEnterprise側で整理する必要が出てきました。

2026年2月からEnterpriseへ変更 して進められるようにしました。 プロダクトや基盤ごとに分かれていた窓口を、横断的に見直すきっかけにもなりました。

基調講演やデモで語られていた大きなコードベースへの対応や、並列・複数チケットの話は、まさにこの数か月で体感が更新されたテーマでもあり、社内の段階と現場の発表が重なって聞こえた一日でした。

参加して感じたこと

今回のイベントで一番印象に残ったのは、Devinの進化速度そのものです。半年でジュニアからシニアへ、というのは比喩ではなく実際の評価として語られていました。これまで「補助ツール」として捉えていたAIエージェントが、チームの一員として機能し始めている現実を突きつけられた感覚があります。

日本法人が設立されたことで、日本語サポートや日本市場に合わせた製品改善が加速する可能性を感じています。これまでは英語でのサポートやドキュメントに頼る場面も多く、問い合わせのハードルの高さを感じていました。国内に拠点ができたことは、心理的な安心感という意味でも大きいです。

「AIをorではなくandとして考える」という言葉が残っています。複数のAIツールを組み合わせながら、自分たちのチームにフィットするワークフローを育てていくこと——それが今のエンジニアに求められているのだと改めて感じた一日でした。

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