及川卓也氏のプロダクトへの想いとプロダクトマネジメント

こんにちは、Kosukeです。:)

IncrementsのQiitaプロダクトマネージャー及川卓也さんがMisocaへいらっしゃったので、インタビューさせて頂きました! f:id:Kosuke7:20170203142556j:plain (左から共同創業者 松本、及川さん、代表 豊吉、Kosuke)

及川卓也氏のプロフィール

一般社団法人情報支援レスキュー隊 代表理事。東京出身。早稲田大学理工学部卒。

専門だった探査工学に必要だったことからコンピューターサイエンスを学ぶ。

卒業後は外資系コンピューター企業にて、研究開発業務に従事。米国マイクロソフトに派遣され、Windowsの開発を行う。その後もWindows関連のプロジェクトに関わっていたが、どうせWindowsの仕事をするのならと、マイクロソフト株式会社(当時)に転職。 マイクロソフトではWindowsの開発を行い、最終的には日本語版と韓国語版のWindowsの開発の統括を務める。

2006年にグーグルに転職し、9年間ほどプロダクトマネージャーとエンジニアリングマネージャーとして勤務した後、2015年11月に退職。

2011年の東日本大震災後に、災害復興支援や防災・減災にITを活用する活動を開始。Hack For JapanおよびIT×災害コミュニティの発起人。

また、個人的にスタートアップ企業や社会起業家NPOなどに技術的なアドバイスを与えている。2016年よりIncrements株式会社へ入社、プロダクトマネージャーとして従事。

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ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後から付いてくる

——どういった想いを持って、過去にGoogleで関わったプロダクトや、現在のIncrementsのプロダクト作りに取り組んでますか?

ユーザー中心

Googleの時とIncrementsの時とで共通しているものもあれば、若干違うものもあります。私はGoogleのミッションである「世界中の情報を整理して、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」に対する共感が非常に強く、この考え方がとても好きです。

Googleのエンジニアやプロダクトマネージャーの8〜9割はお金のことを考えなくてもいいんです。Googleが掲げる10の事実のひとつに「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後から付いてくる」というものがあり、Googleにはユーザー中心という考え方がしっかりと根付いています。

私が最後に担当していたChromeも、実際にはビジネス版があったり、色んなプロダクトに絡んでGoogleの収益になる仕組みはありました。でも、プロダクトを作っている間はお金のことは考えずに、ひたすらユーザーのことだけを考えて作ればよかったんです。

「安全・安心・快適」

ビジネスモデルとしては、ChromeAndroidのようなオープンソースのものは、風が吹けば桶屋が儲かる理論なんです。要は健全にインターネットが発展していくことによって、多くの人が安全に、安心感を持って快適にインターネット上で過ごすようになり、そうするとその内の何人かはモノを知る為に検索し、その内の何人かは広告をクリックし、そうするとGoogleにお金が入る…というように設計されています。

我々Chromeチームがやるべきことは、ユーザーに「安全・安心・快適」にインターネットを操作して頂くことでした。それだけを考えてプロダクト作りにフォーカスしていました。

検索チームも同様です。検索担当のエンジニアは広告クリック率を全く考えておらず、ひたすらオーガニック検索の質を上げることだけにフォーカスしていました。一時的に広告収入が下がるかもしれないけど、絶対にユーザーに利便性を与えて正しいことをしていれば、最終的には収益にも結びつくはずだと考えていました。

Googleはオープンなインターネットの会社であり、Webの会社です。オープンであることが民主主義を進めることになり、それによってより良い社会になり、より良い世界になると考えています。そういったところの一員になりたかったし、一員になることができて嬉しかったです。

プロジェクトの中で色んな機能を入れる入れないという話はあるんですが、全ての根本はユーザーにとって、社会にとって、より良いものを作っていくことだと考えています。

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スケールすること

他にもGoogleには面白いところがあります。

Googleはスケールすることを大事にしています。何かプロダクトを作ろうと考えた時、将来的に10億人使うかどうかで投資するかどうかを決めます。ユーザー数10万人を頑張って15万人にするのではなく、ユーザー数10万人を3ヶ月で100万人にして、1年後には1,000万人にするような計画を立てないといけないんです。スケールすることが常に問われます。

スケールするかどうかを考えた時、発想を思いっきり変えないといけないんです。10%増はちょっとした積み重ねでできますが、10倍にしよう、100倍にしようとした時には、何かのルールを変えないと絶対に達成できません。Googleでは常にそういったことを期待されていて、厳しい時もありましたが、とても楽しかったです。

Googleにいた頃、次に何をやりたいかを考えた時に、プロダクトを作る技術者を応援したいと思いました。自分の中でアイディアはありましたが、IncrementsのQiitaでできるところと被るところがありました。自分で起業するより、既に優秀なエンジニアがいるIncrementsへ合流することに決めました。

チームとして、同じようなビジョンとミッションを持っているか確認をする必要がある

——ビジョン・ミッション・目指すゴールが明確になっている中で、プロダクトマネージャーとして、良いアイディアを出す、もしくはチームから引き出す秘訣やアイディアをどうやって実現に結びつけるか、そのプロセスの中でどんな問題が生じて、どう乗り越えてきたか、教えてください。

ビジョンの絵を描く

一般的にビジョン・ミッションがしっかりしていると言いながら、実際は結構しっかりしていないことが多いです。どういう意味かというと、自分が腹落ちして分かっていても、他のメンバーは微妙に違っている場合があります。

例えば、チームのメンバーで集まり、ビジョンの絵を描いてもらうやり方があります。「5年後、このサービスがどうなっているか?」というお題で実際に絵を描いてもらうと、違うものが出てくる場合があります。それを多様性として受け入れることもあれば、認識が違っているので軌道修正していく必要がある、と気づくこともあります。

他のやり方としては、アジャイル開発プラクティスの一つである「インセプションデッキ」というものがあります。「なぜ我々はここにいるのか?」など、前段のところをしっかりと議論しておくことが大切です。このような方法で、チームとして同じようなビジョンとミッションを持っているかを確認する必要があります。

ボトムアップでできるだけ意見を吸い上げる

「こういったものを作り上げたい」といった時に、現状どういった課題があり、何を価値として出したいかを議論して、それをどういった順番で出していくか。この流れをロードマップとして作っていきます。ロードマップを四半期毎に落とし込んでいきたいのであれば、OKRというフレームワークを使い、達成したいものと達成の進捗を追っていきます。これが一連の流れとなります。

これをトップダウンで言うのは簡単ですが、チームメンバーが腹落ちしていない場合もあります。プロダクトマネージャーがいくら経験があり優秀だとしても、間違っていることとか、他のメンバーからもっと良いアイディアが出てくることがあります。トップダウンで決めるよりは、ボトムアップでできるだけ意見を吸い上げていった方がいいと考えています。

そのやり方としては色んな方法がありますが、一つは自分のアイディアを全部話すのではなくて、できるだけ他のメンバーから意見を出してもらうようにします。そうすることによって、自分が気づいていなかったことに気づかされることがあります。

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ときにはマクドナルド理論も使う

もう一つとして、逆にボーンと何かを言っちゃうという方法があります。「マクドナルド理論」というものがありますが、ランチ何にする?という話になり、みんなが「なんでもいいよ」と言った時に「マクドナルドにしよう」と提案すると、「いやいや、とんかつが食べたい」と別の意見が出てきます(笑)。

例えば、サービスが伸び悩んでる時に「もうこのサービスはやめようか」と話をすると「いやいや、ちょっと待ってくれ」となり、(もう一度成長させる為に)アイディアが出てきます。

あらゆる方法を使って、議論を活性化して、色んなアイディアを出していくことが重要です。Incrementsではさまざまなプロセスを取り入れており、その中の一つにビジネスモデル・キャンバスからサービスとユーザーの部分を取り出した「バリュー・プロポジション・デザイン」という手法が気に入ったので、使い始めています。

日本にもう一つ欠けている大事な部分はプロダクトマネージャーである

——Japan Product Manager Conferenceを開催されたり、様々なイベントに登壇されたり、積極的にプロダクトマネジメントの重要性を日本で広げようと活動されておりますが、どのような未来を描いていますか?その原動力は何でしょうか?

世界はソフトウェアでできている

Incrementsに参加した理由と似ているところがありますが、私は広義の意味での技術者がもっと日本で評価されるようになり、その人たちが力を発揮できる社会になればいいと思っています。異論があるかもしれませんが、世界はソフトウェアでできています。要は、今は色んなものが何から何までソフトウェアで動くようになっています。

しかし、日本はなぜか変な技術者のピラミッド構造があり、下位層に実装できるエンジニアがいて、中間層にSEがいて、上位層に(実装しない)コンサルタントがいる状況です。シリコンバレーはこれとは真逆な状況であり、実装できるエンジニアが最も評価されています。実装できるエンジニアと(プロダクトマネージャーのような)実装者でなくても世の中に良いものを作ろうとこだわり続ける人たちが評価されるようになってほしいです。

Google在籍時に採用をやっていて感じたことは、日本にも優秀なエンジニアが増えてきている事です。小学生や社会人のプログラミング教育も始まってきており、気運も高まっています。

日本にもう一つ欠けている大事な部分

プロダクトを作る為にはエンジニアだけでなく、デザイナーやプロダクトマネージャーが必要です。ここで本当に使われるプロダクトやサービスを作ることができます。エンジニアはエンジニアで応援しつつ、日本にもう一つ欠けている大事な部分はプロダクトマネージャーであると考えているので、ここを日本でも確立していきたいです。

他のプロダクトマネージャーと一緒にコミュニティを作り、評価システムだったり、人材育成だったり、色んな足りないものがたくさんあるので、そういったことを考えていきたいです。それが、あえて色んなところで登壇したり、記事を書いているモチベーションです。

読者へのメッセージ

——最後に、プロダクトを通して世の中を良くする為に行動している方々へ、メッセージをお願いします!

ものづくりは本当に楽しいですよね。プログラムを書いて、動くと楽しいですよね。その次に、自分が作ったものを誰かが見てすごいねと言ってくれたり、使い続けてくれると本当に嬉しいですよね。そういった想いが大切です。

喜んで使い続けてくれるものを作り続けていくことで世の中も良くなっていき、ものづくりを愛してる人も報われるので、そういったことを一緒にできると嬉しいなと思います!

インタビューを終えて

インタビューを通して及川さんの情熱が伝わってきて、私もエネルギーがみなぎってきました!及川さん、惜しみなくプロダクトへの想いやご経験をシェアして下さり、本当にありがとうございました!私もMisocaもより良い世界にしていく為に頑張ります!

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Misocaにはあなたの力が必要です

Misocaは「世の中を仕組みでシンプルに」というビジョンを持ち、「事業者間の取引を最適化する」をミッションとして、ゴールの一つとして「事業者間の商取引プラットフォーム」を創ることを目指しております。Misocaにはあなたの力が必要です。共に「事業者間の商取引プラットフォーム」を創りましょう!

2/22(水)Wantedlyオフィス@東京で「名古屋ITベンチャーNight Vol.1」やります!お待ちしております!

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