R&D室が出来て1年経ちました

このブログは弥生 AdventCalendar 2024 の17日目の記事です。

こんにちは。弥生R&D室でMLエンジニアをやっているsiidaです。 時が経つのは本当に早いもので、弥生にR&D室が結成されてから1年と少しが経過しました。

研究開発部門のチームビルディングという非常に貴重な経験ができた1年でしたので、これまでの1年を振り返ってみたいと思います。

設立に至るまで(2023夏)

ここ数年のテクノロジーの進歩は著しく、弥生も先端技術への適応を迫られるフェーズに面していました。 そこでAIにフォーカスして弥生の新たな価値を創出する、という目的のチームを立ち上げることが決定しました。

立ち上げメンバーは以下の通りです。

  • MLエンジニア
    • わたし(2023年夏に中途採用)
    • 同僚(同じタイミングで中途採用)
  • マネージャー/アドバイザー
    • 室長(基本いない)
    • CTO(たまにいる)

たった4人で、かつ新人と工数の僅かなマネージャーだけ。 果たしてどこまでできるのでしょうか。

R&D室設立直後(2023/10~2023/12)

何もわからない。

直近の仕事も今後の1年の計画も社内のこともとにかくなーにもわからない。 決まっているのは中途研修の予定だけ。空いてる時間も多いし、あとはいったい何をするんだ??

まずメンバーで集まって相談しました。自己紹介からはじめて、それから次のことを決めました。

  • チームのミッションとスコープ
  • 年間の目標とスケジュール
  • 仕事の枠組みや進め方

仕事の枠組みとしては、社内のニーズを元にテーマを選定し、数か月単位のプロジェクトとしてPoCを実施するという形としました。

そこで「どのようにニーズを集めるか」という課題となり、そのための具体的な取り組みが直近のタスクとなりました。 たとえば社内のどなたが課題を抱えていて、関連するプロダクトは何になり、どこに活用できるデータがあるか......といった情報を調べていきます。 入社したばかりのエンジニアがいきなり部署横断的な仕事に取り組むこととなり、「わからん!」と悲鳴をあげては周りの方々に助けていただきつつ、 どうにかテーマ選定のための仕組みづくりを整えていきます。

やがてニーズ収集と整理が終わり、PoC(Proof of Concepts)に取り掛かるための精査が済み、ようやくR&D室として取り組む最初のテーマが決定しました。

PoC実施(2024/1~2024/3)

PoCの期間は3か月という短い期間でしたので、様々な工夫(と高いモチベーション)が必要でした。

例を挙げると、

  • MLエンジニアリングに関する技術的な試行錯誤
  • PaaSや業務ドメインの専門家とのディスカッション
  • 徹底的に効率よく業務を回すための仕組みづくり

といった取り組みを実施しました。また仕組みづくりです。これが非常に大事です。自分たちで責任をもって仕事のやり方を決めるというプロセスが、スピードとエンゲージメントに直結します。誰かの言うことに従うだけでは、目標を達成できなかったでしょう。多くの方々を巻き込みご助力いただきつつも、メンバー2人で走り切りました。

後始末と準備(2024/4~2024/9)

ひとつPoCを終えてここで一息、、、と思いきや。逆に終えたPoCを元にして、様々なタスクが発生しました。

  • 実運用時の条件を見据えた分析
  • 多角的なパフォーマンスの効率化
  • 実運用するシステムへの組み込み方法の検討

PoC実施時においては限られた時間の中で精度を追求しました。しかし実運用を見据えると、多くの問題点が浮き彫りになりました。たとえばユーザからの入力値が想定通りでない場合に不適切な振る舞いを起こしてしまう、精度をわずかに上げるための時間のかかる処理がある、といったものです。他にも、単純に技術的負債や、ドキュメントの不備などといった問題も発生しました。

こうした問題に対処するための後始末に多くの時間を費やすこととなりました。PoCの結果は直ちに製品実装できるものではないのです。。

一方で、新たなプロジェクトに取り掛かるための準備も並行して進めていました。メンバーそれぞれが興味のあるAI企画を各々の方針で推進し、今後の自分の取り組むテーマを決めていく。指示された要求を実装するのではなく、自分で要求を決め自分で実装する。それがR&D室のMLエンジニアです。

スケーリング(2024/10~現在)

弥生は10月が期首となるので、秋に大きなイベントが発生します。R&D室ではメンバーがなんと8人になりました。これに伴い、並行して進められるプロジェクトも増加しました。R&D室の組織としての力が飛躍的に高まり、この1年はさらに大きな目標にチャレンジします。

ふりかえり

指示された要求を実装するのではなく、自分で要求を決め自分で実装する

このための体制を1年かけて整備することができたかなと思います。テーマ選定にPoC、その後の後始末を含めて、全社横断的に様々な方とのつながりを作ることができました。弥生という大きな企業が蓄積しているニーズやデータ、ノウハウといったリソースを少しずつ活かせるようになってきています。

今後ともMLエンジニアが実力を発揮するための最高の組織にできるよう、進み続けたいと思います。

弥生では一緒に働く仲間を募集しています。 ぜひエントリーお待ちしております。

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