確定申告時期の苦労と、その時期にやっていること

この記事は弥生 Advent Calendar 2021 の15日目エントリーです。
弥生会計のエンジニアをしている竹山です。

今年も残すところ半月となり、2か月後には確定申告期間が始まります。
開発は繁忙期の最中ということで、その乗り越え方についてご紹介します。
(2021年5月13日(木)に開催された、もくテク「確定申告ソフトの開発舞台裏」でも発表しました)
もくテク「確定申告ソフトの開発舞台裏」を開催しました - 弥生開発者ブログ

会計ソフト開発の一年

弥生会計は、毎年秋ごろに新バージョンをリリース(今年は弥生会計 22)し、1月から始まる確定申告期間に合わせ「所得税確定申告モジュール」をリリースしています。

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大変なところ

メジャーバージョンと確定申告モジュールのリリース前に忙しい時期が生じますが、
特に確定申告モジュールの開発は、様々な要因があって、特に忙しくなります。

  • 所得税の確定申告期間はあらかじめ決まっているため、申告期間の開始に間に合うようリリースする必要があります。
  • 一方で、確定申告書などの様式、確定申告の手引き、e-Taxの仕様などが公開される時期もある程度決まっています。これらが公開されないと、開発を始めることができません。
  • したがって、様式や手引きの公開から確定申告期間までの限られた時間で、開発を行う必要があります。

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  • 改正の分量によっても対応の難易度が左右されます。昨年は様式や計算方法の変更が多く、対応が大変でした。帳票や手引きは、すべての情報が一気に公開されるわけではないため、帳票のイメージなど、断片的な情報から対応内容を予測し、期限に間に合うよう工夫しています。例えば昨年の様式変更では、扶養親族の記載欄に丸印を付ける条件が分からない状態からスタートしましたが、様々な情報源から推測して先行実装しました。

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  • また、技術面ではなく表現方法で悩む個所もあります。
    下図は昨年作成した「所得税確定申告に関するお知らせ」です。
    昨年は青色申告特別控除額の変更がありましたが、条件によって設定すべき金額が異なるため、 「過大申告・過少申告を生じさせない」ためにお知らせ表示することとしました。
    このような分かりやすさに関わる部分は、ユーザー対応を行うコールセンターとも連携して、表現方法を検討しています。

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どんなふうに乗り越えているか

年によって大小はありますが、毎年確定申告モジュールをリリースできているのは、以下の理由があります。

法令確認

日ごろから法令などの情報収集を行い、修正の必要性を早く把握できるようにしています。

  • 社内で法令調査を行い、共有会をしています。
  • チーム内では、法令改正情報をエンジニアが当番制でチェックしています。
  • e-Taxの仕様を確認したり、弥生の他製品ともで齟齬がないかを確認しています。

開発プロセス

手戻りを最小限にすることを意識した開発プロセス(U字プロセス)を採用しています。設計書、テストスクリプト、実装のレビューを徹底的にすることで、設計書やコードの状態が常に整備されているので、過去の資料の不整合が少なく、今回の対応に集中できます。
会計ソフトの場合、計算式の端数処理や桁数、0の場合に0と表示するかなど、細かな指定が残されていることがとても大事です。対応の際はこれらの指定を一つ一つを吟味して修正します。

やりがい

限られた時間の中で、必要とされる機能を正確に、かつ最大限わかりやすい形で提供するところにやりがいを感じます。日常の準備や改善が繁忙期に結果として表れるので、毎年新しい気付きを得ることができます。

会計ソフト開発全般については、昨年の記事をご参照ください。
tech.yayoi-kk.co.jp

まとめ

これまで継続して、毎年の期限に合わせてソフトウェアをリリースできていることは大変なことで、毎年プレッシャーもありますが、上記のような取り組みが重なって、安定して機能を提供することができていると思います。
今年分も使いやすい確定申告機能を提供できるよう、鋭意開発を進めていきます。

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