はじめに:育休は“学び”の時間でもある
エンジニア7年目、0歳児子育て中のeastereggloverです。 昨年5月から産休・育休を取得し、今年5月に職場復帰しました。スクラム開発の経験は1年ほどです。
育休に入る前は、正直なところ「しばらくはエンジニア業から離れる期間になるな」と思っていました。仕事とはまったく違う世界に飛び込むようなイメージです。 しかし、実際に育児が始まってみると、それは“まったく別のもの”ではありませんでした。
むしろ、これまで仕事で学んできた価値観や習慣が、思わぬかたちで育児にフィットする場面が多くあることに気づかされました。
特に、スクラムの考え方──チームで進める開発手法として学んできたマインドセットが、育児においても多くのヒントになったように思います。育児をする中でスクラムの考え方についてようやくしっくり来たところもあったので、ブログにすることにしました。
育児は夫婦で回すスプリントの連続
実際に育児をしてみて、夫婦はスクラムチーム、子育ては子供という顧客の要求にこたえながら進める長期的なライフワークで、1日のスプリントの連続であるように感じました。
育児においては、日々のルーチンや突発的なトラブルをこなしながら、長い目で見てチームをどう維持し、柔軟に動けるようにするかが重要になります。
日々の子供の成長により要求されることは日々変化していくので、まさに短スプリントのスクラムが効果を発揮しやすいライフワークだと思います。
経験主義と機能横断型のチーム
育児において短期的な効率を重視するなら、「得意なほうが同じタスクをまとめてこなしたほうが早い」という場面もあります。 しかし、それを続けてしまうと、どちらかが体調を崩したときや他のことで手一杯になってしまったときに、途端に回らなくなってしまいます。
恥ずかしい話ですが、私もお風呂に入れるのをパートナーに任せきりだった結果、パートナーが体調を崩していざ自分が風呂に入れるとなった際、シャワーの出力調節を誤り、子どもを泣かせてしまったことがありました。元気なときにもっとやっておけばよかったと後悔しましたし、勘所はやってみないとわからないものだとも思いました。
この経験を通じて、「お互いが様々な家事・育児タスクをできるだけ経験しておく」ことの重要さがわかりました。 これはまさに、経験主義に基づいて機能横断型のチームを構成することがチームワークを高めるというスクラムの考え方に通じるものだと感じています。
そして、この「相手がやったことがないことを任せる」「自分がやったことがないことにチャレンジする」という行為には不安が伴い、「勇気」が必要だということもわかりました。 スクラムの考え方は全て繋がっているんですね。
尊敬や日々の改善──スクラムとの接点はほかにもたくさん
そのほかにも、スクラムで学んだ価値観や習慣が、育児チーム(=自分とパートナー)を円滑に回すために役立ったなと思う場面がありました。
「ありがとう」を言葉にする習慣
日々お互いがやったことに対して感謝やねぎらいをちゃんと口に出すことが、チームとしての雰囲気を良好に保つ原動力になっていました。 これは、スクラムの価値基準のひとつである「尊敬」に関連することだと思いました。
睡眠が取れず疲れが出ているとこういったことを忘れがちで、自分の都合ばかりを重視して物事を考えてしまうとも思いました。 開発チームにおいてもこれは同じで、切迫した状況だとPOの立場や他の作業をしている人の立場を考えず行動してしまうと思ったため、相手への敬意を持つことはより意識していこうと思います。
日々のふりかえりと改善
もともとうまくいっていたことでも、子供が成長していくことではまらなくなることが多くありました。
そんな中で大人が寝る前の時間に「今日ちょっとうまくいかないことがあったね」「あそこはこうすればよかったかも」といった小さなふりかえりを行っていました。
運動成長に合わせて生まれたてから使っていたベビーベッドを廃止し寝室のレイアウトを変更する、身長が伸びたことに合わせてお風呂から上がる際の待機の手の向きを変えてみるなど、ふりかえりの会話から具体的な改善策が出てくることも多くありました。
変わりゆく状況のなかでは事前に完璧な計画を立てるというのは無理だということ、だからこそ短いサイクルでふりかえりをしながら改善していくことが大事であることを、経験から身をもって実感しました。 また、日々のこうした積み重ねが、チームとしての連携力を少しずつ高めていくのだと知りました。
育休を終えて思うこと
今回私はスクラムのプラクティスを育児に導入した、というわけではありませんが、仕事で学んだ価値観を、育児の中で実感を伴って理解できました。
育休中は、キャリアが一時停止する不安もゼロではありませんでした。しかし今振り返ると、自分なりに多くの学びを得られた時間だったと感じています。
おわりに
エンジニアにとっての育休は、「チームって何だろう?」を見直す時間でもあるのではないかと思います。
これから育休を取ろうと考えている方や、育児とキャリアの両立に悩んでいる方にとって、この記事が少しでも励ましになれば嬉しいです。
私自身スクラム開発についても育児についてもまだまだひよっこではありますが、引き続き頑張っていきたいなと思います。
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