会計ドメインと自然言語処理の接点を探る——弥生がYANS2026にゴールドスポンサーとして参加しました

はじめに

こんにちは。弥生株式会社 AI・データ戦略部の大塚、古澤、クラウドプロダクト開発部の永田です。

2026年8月16日(日)から18日(火)にかけて仙台国際センターで開催された「第21回言語処理若手シンポジウム(YANS2026)」に、弥生はゴールドスポンサーとして参加しました。

会計・税務をはじめとするバックオフィスの現場には、専門知識を必要とする複雑な業務を支援するために自然言語処理が価値を発揮できる課題が数多くあります。弥生では、部署横断のAI・データ戦略部と各プロダクトチームが連携し、こうした課題に研究とプロダクト開発の両面から取り組んでいます。

前年のYANS2025では、筑波大学の学生が弥生との共同研究成果を発表しました。今回は、技術コミュニティへの継続的な貢献と、若手研究者・技術者の皆さまとの交流を目的に、ゴールドスポンサーとしてイベント運営を支援しました。当日は、研究・プロダクト開発・採用に携わるメンバーが、それぞれの立場から参加しました。

  • AI・データ戦略部:大塚、古澤
  • クラウドプロダクト開発部:永田
  • 採用担当:桑田

この記事では、ブースやスポンサーセッションで交わした議論、スポンサー賞に選んだ研究を通じて、当日の様子と弥生が自然言語処理に取り組む理由をご紹介します。

YANSについて

YANS(言語処理若手シンポジウム)は、自然言語処理および関連分野を担う若手研究者・技術者の育成と、産学の枠を超えた交流を目的に、年1回開催されている研究シンポジウムです。

第21回となるYANS2026では、初日の分野交流ハッカソンに加え、2日間で5つのポスターセッション、チュートリアル、スポンサーセッションなどが行われました。ポスター会場では、LLM、AIエージェント、RAG、VLM、音声処理、データセット構築など、自然言語処理を軸にした幅広い研究が発表されました。モデルや手法の提案だけでなく、データ設計や評価、実社会での活用を見据えた研究も多く、私たちが取り組む研究開発とも重なる論点について、発表者や参加者の皆さまと活発に議論することができました。

スポンサーブース

ブースでは、会計ドメインにおける質問応答やRAGの研究成果、プロダクト・社内業務でのAI活用について紹介しました。専門性の高い情報をどのように扱うか、生成された回答の正確性や有用性をどう評価するか、研究成果をお客さまの業務課題の解決へどうつなげるかなど、研究と実装の双方にまたがるテーマについて、多くの参加者と意見を交わすことができました。

また、AI・データ戦略部、クラウドプロダクト開発部、採用担当のメンバーがそれぞれの立場から参加したことで、研究テーマや実装上の工夫に加え、研究からプロダクト開発へつなげる際の考え方、弥生でのキャリアや働き方についても、来場者の関心に応じて幅広くお話しできました。

スポンサーブースでの様子

スポンサーセッション

スポンサーセッションでは、大塚より弥生の事業とAI・データ領域における取り組み、インターンシップの開催について紹介しました。弥生では、会計ソフトをはじめとするバックオフィス業務の支援を通じて培ってきた知見やデータがあります。「現場のビジネスで蓄積された、リアルな生のデータ」が豊富にあり、社内外を問わず、AIを活用したプロダクト開発や業務効率化に取り組んでいます。

スポンサーセッションでの発表の様子

弥生スポンサー賞

スポンサー企業には、産学交流の一環として、独自の視点からポスター発表に賞を贈る「スポンサー賞」の機会があります。どの研究も魅力的でしたが、私たちが今回の弥生スポンサー賞に選んだのは、次の研究です。

[S4-P08] 大規模言語モデルを用いた相談型掲示板の回答意図推定 羽鳥 なの香 (青学), 横山 暁 (青学)

セッションの出典

スポンサー賞を受賞した方との記念写真の撮影

選定にあたり、私たちが特に注目したのは大きく3点です。


1. 異分野からの参加

言語処理分野は、言葉を扱っている業務などに応用しやすい良い学術分野であると考えています。上記の研究は、異分野から言語処理という手法で社会課題に挑むチャレンジングな研究に見えました。また、現場の課題を起点に技術を探索し、解決へとつなげていくアプローチは、弥生のスタンスとも重なるものです。

2. 構造を理解しようとする分析的な内容

回答意図という定量化の難しい対象に対して、まず語彙的な特徴を丁寧に洗い出し、その構造を理解しようとする分析的な姿勢も印象的でした。比較的クラシカルな手法を利用していましたが、問いに対してより良い選択がなされているように感じました。

3. 弥生の業務との親和性

質問のカテゴリによって回答意図の構成が変わりうる、という視点も印象的でした。 私たちが提供している業務ソフトの画面の向こうにも、経理・税務・ソフト操作・資金繰りなど、多くの相談があります。テーマが変われば、望ましい返答の型も変わることは、問い合わせの種類が多様な業務ソフトの現場と近いように感じました。


本研究を拝見し、生成AIの返答を「自然かどうか」だけで評価するのではなく、「その場面でどのような役割を果たすべきか」という観点の重要性をあらためて認識しました。これは、お客さまごとに異なる状況や目的を理解し、適切な支援を届けることを目指す弥生にとっても重要なテーマと考えております。また、純粋な技術研究だけではなく、現場の課題を起点に技術を探索し、解決へとつなげていくアプローチは、弥生のスタンスとも合致しています。

さいごに

弥生では、社外の研究コミュニティとの交流から得た知見を研究開発へ還元し、プロダクトやサービスを通じてお客さまへの価値につなげていくことを大切にしています。会計・税務をはじめとする専門性の高い領域には、自然言語処理や生成AIによって解決できる課題が数多く残されています。これからも研究と実装の両面から、スモールビジネスを支える新しい価値の創出に取り組んでいきます。

研究で得た知見を、実社会の課題解決にどうつなげるか。弥生では、AIやデータの力でそうした挑戦をともにする仲間を募集しています。著者の永田を含め、博士課程を経て弥生へ新卒入社した社員も活躍しています。研究で培った知識をプロダクトやサービスに落とし込む仕事に興味がある方は、まずはインターンにぜひ来てください。下記の募集ページもご覧いただければと思います。

herp.careers

最後になりますが、発表者・参加者の皆さま、運営の皆さま、ブースへお越しいただいた皆さまに心より感謝申し上げます。弥生の研究開発について、詳しくは弥生の研究開発のご紹介もぜひご覧ください。

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