Microsoft Developer Dayに参加してきました(後半戦)

この記事は弥生 Advent Calendar 2024 (シリーズ1) の6日目の記事です。

はじめに

こんにちは、新卒エンジニア2年目の齋藤です。

先日、大手町プレイスのイーストタワーで行われたMicrosoft Developer Dayに参加してきました!この記事では、本イベントの後半のプログラムについて記載いたします。

また、こちらの記事は連日の投稿の続きとなります。

関連した投稿

Microsoft Developer Dayとは

Microsoft Developer Day 〜 AIで開発者の力を最大限に引き出す」は、開発者向けの対面イベントで、Azure AIGitHub Copilotなどの最新技術を学べる場です。AI開発と開発者の生産性向上に特化したセッションが行われ、実際の事例やベストプラクティスを通じて、AIの実装方法や生産性向上のテクニックが学べます。展示ブースなどもあり、最新の技術情報やコミュニティとの交流を深める機会となっていました!

後半のプログラム内容

早速ですが、ここから後半のプログラムについて、掘り下げていきます!

.NET 9 リリース直前! ~最新情報と今後の展開~

.NET 9のリリースを控え、これまでの.NETの最新情報や、ロードマップ、GitHub Copilotとの関連などについて発表されました。

最新情報として、主に2つの要素が共有されました。

  • .NET Aspire 9.0
    • ワークロードからSDKスタイルへの変更
    • ダッシュボードのモバイル対応によりWeb上でログやトレースを確認できる機能
  • .NET Smart Components
    • フォームへの入力をAIが支援

ロードマップでは、まず.NETの変遷として、2001年のECMAから2024/11の.NET 9リリースまでがおさらいされました。感慨深いですね。 また、.NET 9のリリースがSTS(18か月単位でのリリース)であることや、.NETのアップグレードをサポートするVisual Studio拡張機能である.NET Upgrade Assistant、.NET 10に向けたモダンアプリ開発フレームワークについても共有されました。

GitHub Copilotとの関連については、以下が共有されました。

  • Visual Studio 2022に標準統合
    • 拡張機能が不要に!
  • エージェントの拡充
    • @workspace→ソリューションやその中のファイルを参照して、回答を生成
    • @github→リポジトリ全体をコンテキストとして回答を生成
  • コンテキストの拡充
    • 「#」で指定したメソッドやクラス、関数を理解して回答を生成
  • Copilotのモデルの選択が可能に

今後の展開や発展が楽しみになる内容でした!

RAG development TIPS

株式会社ヘッドウォータースからの発表です。

生成AIなどとビジネスを掛け合わせたソリューションの提供を担う会社から、AI活用の実例からその活用方法の検討のプロセスについて共有いただきました。 AI活用の伴走支援の際に行っているAI導入までのステップや、そのアイデアソン内で使用するワークシートの共有もされました。

具体的に、ワークシートには以下のような項目がありました。

  • What どんなAIか
    • サービス/AI名称
    • AIができること、解決すること
  • Who 誰のためのAIか
  • Why なぜAIが必要なのか
  • Which どのタイプのAIか
    • Vision系AI、予習AI、識別系AI…

また具体的な壁打ちの論点なども共有いただき、AI活用における目的、方法、効果などを明確にする手法について学ぶことができました。

ゾルトラーク的 AIアプリケーションアーキテクチャ

ゾルトラークとは、「葬送のフリーレン」に登場する魔法です。一度一般攻撃魔法となったゾルトラークを再び研究し、強化したゾルトラークで魔族を打倒する場面があるそうです。 つまり、ゾルトラークは基本を学び、磨くことの大切さを示す象徴です。

AIアプリケーションアーキテクチャにおいて、どんなユースケースや要件でも議論しておきたい部分(基本に磨きをかける部分)として、以下を挙げて掘り下げる内容でした。

  • プライベートエンドポイント、セグメント化
    • データの漏洩防止だけでなく、重課金の防止にもつながる
  • 秘匿情報の保護
    • キーなどはシークレットストアに管理し、そもそも秘匿情報の管理をしない
  • 可観測性の確保
    • 生成AIをブラックボックスにしないように、アプリケーションの動きを把握できる設計に
  • 環境のコード化
    • 試行錯誤や横展開はコピーがつきもの、設定の手数をコード化で削減

また、個人的に刺さった内容を2つ共有します。

  • 背景や決定を記録しよう
    • 生成AIの要件はふりかえり、判断、決定の連続
    • 決定の背景にはコンテキストがあるはず
    • その記録が財産となる
      • 設計書や実装に対しても言えること
  • アーキテクチャは図だけではない
    • 諦めたもの、条件、想いなどが大事
    • 獲得したい特性と考慮すべきトレードオフを意識する

開発者だからこそ知っておきたい責任あるAI

生成AIによるリスクが数多く存在する中で、開発者として価値提供する際にはそれらを打破し信頼を獲得する必要があります。 それらのリスクをどのように解決していくかについて、発表がなされました。

AIのリスクを緩和する策として、Mitigation Layersが紹介されました。 アプリケーションを4つの層に分け、各層でリスクの軽減策を講じるという考え方です。

以下に各層と、その層について共有された緩和策についてまとめました!

  1. Model層→有害なプロンプトとモデルごとの応答の比較
  2. Safety System層→LLMエンドポイントの堅牢性を評価するツールPyRITやAzure AI Content Safetyの紹介
  3. Application層→よりよいプロンプトを作成するためのMeta Promptの説明
  4. Positioning層→Responsible AI Transparency Reportの共有

まとめ

AIが全てやってくれる時代は、来るにしろまだまだ先の未来の話でしょう。

それまで私たちは、様々あるAIの性格を知り、どのように構築するか、どのように運用するか、望ましいAIとは何なのかについて、今後も学んでいくことが求められます。

後半の内容に限らず、このイベント全体の内容は、そうして学ばれてきた方々の知見の結晶であると強く感じました。

自分も勉学を続けようという意識の芽生えとともに、行く末のAIと人間の共存する豊かな未来を思わせてくれる、貴重なイベントでした。



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