こんにちは、カトです。弥生でQAエンジニアをしています。
認定スクラムマスター(CSM)の資格を取得しました。
なぜスクラムマスター?
QAエンジニアの私がなぜ認定スクラムマスター(CSM)に手を出したのか。
3月下旬から7月中旬の4か月間の物語です。
2023年3月
弥生の開発本部は、4半期に1度、本部のキックオフを開催しています。
このキックオフの場で、「より速くお客さまに価値を提供する」というメッセージとともに、新規プロダクト開発はスクラム開発でやっていくという共有がありました。
キックオフの場と、その後スクラムの体制を確認した時に、スクラムチームに対して、以下の理解をしました。誤解はありますが、当時の理解をそのまま書きます。
- スクラムチームは、プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発者の3つの役割からなる
- スクラムチームに所属する開発者はフルスタックでなければいけない
「QAエンジニア、どうすればよいのだろう?」
これが最初の疑問でした。
私はQAエンジニアで、普段の業務は、品質分析や、テスト計画・テスト設計・テスト実施などをしています。
製品に搭載できるようなコーディングのスキルは持っていませんし、UX検討を主導することもできません。私のスキルでは、スクラムチームの開発者にはなれなさそうです。
ダメな私は、現実から目を背けることにしました。
2023年4月
楽しく平凡に、QAエンジニアとして、品質分析し、テスト計画をしていました。
今まであらゆるラッキーだけで生き抜いてきたのだから、きっと今回も何とかなるでしょう。
しかし、現実逃避していても、目からも耳からもスクラムの話が入ってきます。
そこで、意を決して現実と向き合うことにしました。
私は弥生の各サービスの担当を渡り歩いてきています。弥生のサービスを広く知っていて、業務を進めるうえで社内の人脈をつくってきたと思います。
現在担当しているプロジェクトでは、がんばっているエンジニアたちのファイアウォール的な存在でありたいと考えています。
各方面からの要求や要望を整理し、調整し、チームの進捗に影響が出そうなことは事前に対処しておくことを目指しています。
私は遊軍のような存在で、チームの「こぼれタスク」に対応できる存在でありたいと考えています。
特別なスキルはいらないけれど、時間がとれない後回しにしている作業を引き受け、チームの「やりたいのにできていない。いつかやらなきゃいけない。」というストレスからの解放を目指しています。
tech-blog.yayoi-kk.co.jp
私の考えや行動は、「スクラムマスターは奉仕型リーダー」というところに通じるのではないかと考え始めました。
そこでスクラムマスターをよく知るべく、スクラムマスターの研修を探しました。そして、確認した時点で確定していた開催日のうち、都合がつく6月24日~25日の研修に申し込みをしました。
私が参加した研修はこちらです。
abi-agile.com
2023年5月
仙台に行き、JaSST '23 Tohokuに現地参加しました。
JaSSTのセッションでは、スクラムの中で活動しているQAエンジニア、スクラムの外から活動しているQAエンジニアの実践のお話しを伺いました。
QAエンジニアのままでも活動できるのではないか?という考えがよぎりました。しかし、スクラムマスターに関する知識をつけることがQAエンジニアにとってマイナスになることはないだろうと思いなおし、スクラムマスターを取り上げている書籍を読みました。
2023年6月
研修に参加しました。
全体講義と、4人ずつのグループワークの時間がありました。
とても実りの多い研修でした。特に、以下の内容は、スクラムマスターにならなかったとしても、すぐに業務で活用できる内容でした。
- ウォーターフォールかスクラムかの選択をする際には仕様変更が4%未満か以上かで判断
- 「不確実性に対応する要素が多い対応かどうか」を一つの判断基準にすることができそう (「4%」の根拠や取得の方法については、研修では説明なし)
- 見積り
- 相対的なサイズで見積り、ポイント化する
- チームがスプリントで対応できるポイント数の実績から、次のスプリントで対応できるポイント数をスプリント計画時に用いる
- ハンドサイン
- ミーティングの際に、次の話題に移るかもう少し深掘りするか、意見を求める際、手の動きで多数決をとる
私が参加したグループには、スクラムマスターとして活動されている人がいらっしゃいました。研修の合間に実際の業務の場面でのお話しを伺うこともできました。
2023年7月
研修の内容を復習して、認定試験を受けました。試験時間は60分で50問の択一問題です。自宅で好きな時間に受験可能です。
最初の1問目で迷ってしまって冷や汗をかきましたが、48問/50問正解で、無事に合格することができました。
スクラムマスターに関する情報は書籍やネットの情報でも得ることができます。
それでも、スクラムを体験できる研修を受講したことは、とてもよい経験だった考えています。
基礎となる知識を身につけました。知識をどう実践に活かしていくか、これが大事です。
今のスクラムに対する理解
スクラムは、プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発者の3つの役割からなります。
開発者はなんでもできなければいけないと思い込んでいましたが、個人ですべての能力を兼ね備えている必要はありません。
チームとしてフルスタックであればよいのです。
ここで、思い浮かべたのは音楽でした。
ウォーターフォール開発
指揮者のいる合唱団のイメージです。
たくさんの歌い手(開発者)を取りまとめる、指揮者(マネージャー)がいます。
指揮者(マネージャー)の方針に意見がある場合は、演奏の最中ではなく、事前に合わせておく必要があります。
指揮者(マネージャー)の指示どおりの演奏をすれば、大きな間違いが起きることは少ないです。指揮者(マネージャー)の指示どおりに歌い進めることが大切です。
歌い手(開発者)それぞれのスキルは、合唱団の全体に影響します。
スクラム開発
バンドのイメージです。
一人でギターもベースもドラムもすべての楽器の演奏ができる必要はありませんが、チームとして揃っている必要があります。
ボーカル担当ではなくてもコーラスができたらよいですし、ギター・ベース・ドラムの他に、チームにキーボードができる人がいたら、このバンドで演奏できる範囲は広がります。
事前の擦り合わせも大事ですが、演奏しながら、お互いの目をみて、演奏を調整することも多くあります。
はたしてこの理解は正しいのでしょうか?
これから学習を進め、スクラムチームの実態をみながら、理解が変化した時に、また文章に残していきます。
今後の活動
スクラムマスターの研修をとおして、QAエンジニアとしてできることを考え直すきっかけになりました。
認定スクラムマスター(CSM)の資格を取得したからといって、すぐにスクラムマスターとして活動できるわけではないと思っています。
どのような役割だったとしても、「お客さまに価値を届け続ける」という目標は変わりません。私は私のできることを増やしていき、チームがより快適に働くことができること、お客さまにとって便利なサービスであり続けることを目指す活動をしていきます。
研修で学んだ「見積りのやり方」「開発者としての責任」については、すぐに実践に移すことができるので、業務に取り入れています。
このお話しはまた別の機会に。
弥生にはスクラム開発しているチームがあり、スクラムマスターたちの集いがあります。
夏の夜にスクラムマスターたちのお悩み相談を聞いてみませんか?
mokuteku.connpass.com
弥生では、スクラムマスター、品質に向き合い続けるQAエンジニアの募集をしています。
herp.careers