この記事は弥生 Advent Calendar 2023の15日目の記事です。
はじめまして。「弥生会計」開発チームでエンジニアをやらせてもらっているOです。弥生に新卒で入社して3年目になります。
好きな勘定科目は「現金」です。弥生会計で科目選択のトップに表示されますし、手軽ゆえテストでもたくさん設定するからです。
この記事では「エンジニアがお客さまの声を聴いてみた」と題して、私のチームでエンジニアの顧客目線醸成を目指してやったことをご紹介していきます。
背景
先日、弥生では大きな組織改革があり、その一環で開発本部に新たな目標が追加されました。追加された目標の一つが「エンジニア目線と顧客目線の両立」です。
しかしエンジニア、お客さまと直接かかわる機会なんてないですよね。どうやって達成しましょう。
現状、エンジニアがお客さまの声を知るすべは限られています。更に、
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能動的に取りに行かない限り情報が入ってこない
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お客さまの声は他本部の人を通して要求として上がってくるため、直接関わらずとも製品を作れるしくみである
このためエンジニアはお客さまに対する解像度がやや低めの状態です。
そんな状況から顧客目線を手に入れるため、2つの取り組みをはじめました。
やったこと
①お客さまの声を聴いてみよう。
「お客さまの仕事をサポートする製品を作っている以上、お客さまの声を知りたいエンジニアは多いのでは?」と思い、「カスタマーセンターへのお問い合わせ音声を聴いてみたくないですか?」とチームメンバーに聞いてみました。
(補足)弥生は業界で最大規模のカスタマーセンター(コールセンター)を抱えています。そこではオペレーターが日々電話やメールなどでお客様対応を行っています。
チームメンバーからは「お叱りが多かったら悲しいかも」という不安の声もありつつ、「お客さまのご要望を実際に聞いてみたい」「どんな機能が喜ばれているか知りたい」といった反応が多く寄せられました。
そこで「顧客対応音声を聞く会」を計画しました。
会の主目的は「お客様のお困りごとを知り、製品を改善するためにどうすべきかをエンジニア一人一人が考えるようになる」。つまりエンジニアの「顧客目線」と「オーナーシップ」の醸成です。
お客さまとオペレーターとの通話を聞くにあたって、「旬な問い合わせ(インボイス関連、最新の障害etc)、 問い合わせ頻度の高いもの、お客さまからのポジティブな声が含まれる音声を聞きたいです!」とカスタマーセンターに依頼しました。
該当するものをピックアップしていただき、そのうちの三本を聞いてもらうことに。それぞれ7分程度の短めの音声です。
- 「インボイス制度は自分(免税事業者)にどう影響する?」
- 「△△という内容のエラーが発生する」(※障害)
- 「××を〇〇することってできる?」(※できる!)
これを普段エンジニア全員で集まって作業しているZoom部屋で流しました。感想があれば、音声を聞きながら随時Slackに書き込みしてもらいます。
最後に少しだけ感想タイムを設け、終了後は匿名のアンケートを実施しました。
結果
Slackの感想用スレッドは予想以上に賑わい、アンケートも参加者20名のうち18名が回答してくださいました。一部をご紹介したいと思います。
モチベーションUP系
- 自分の仕事がどう活きているかを知ることができて嬉しい。お客さまが喜んでくれている様子が励みになる。
- 高度に組織化されている中で開発をしているのでユーザーの存在を忘れがちになるが、企画を通して思い出すことができた。
開発に対するメリット系
- 情報表示の出し方ひとつでお客さまの反応が大きく変わることを実感できた。
- 我々は開発の際にユーザーの目線を想像しながら開発を進めるが、その想像の解像度や質をより高められそう。
- 開発サイドとして製品の扱い・仕様に慣れてしまうと、ユーザーの考えに対し乖離が生まれやすい。見つめなおすきっかけになった。
オペレータの対応への称賛系
- 丁寧で無駄のない回答がすごい。自分より製品の仕様に詳しいのでは……?
- カスタマーセンターにも弥生会計を支える力強い仲間がいることを実感できた。
- オペレータの方が苦労しないようにしなければ。。
意図していた以上の良い刺激になったことが感想から伺えます。
➁お客さまのことがよくわからないなら、わかる人にお聞きすればよいじゃない。
やったことのふたつ目は顧客サービス本部とのオンライン交流会です。
顧客サービス本部(以下CS本部)はお客様対応のプロ、つわもの揃いのカスタマーセンターを運営している本部です。
ただ実のところ、エンジニアは「お客さまと直接かかわる機会なんてない」だけでなく他本部の方とも関わり少なめです。ぶっちゃけ大体のメンバーはお互いなにしているかもよく知らない状態です。
(補足)弥生本社が東京にあるのに対して弥生のカスタマーセンターは大阪と札幌の2拠点にあります。物理的にも遠い。何かある時はSlackでやりとりしています。
しかし顧客対応音声を聞いた今、エンジニアの間でオペレーターに対する感謝と尊敬の念が爆上がりしています。やるなら今ですね。というわけで思い切って交流会を企画しました。
交流会は2時間。今後本部をまたいで連携しやすくなるよう情報共有と対面コミュニケーションを主目的と決め、終始ラフな空気感で進めました。
参加メンバーは20名強、主なトピックは以下のとおりです。
- 自己紹介/各メンバーの業務内容紹介
- CS本部メンバーによる、お客さまの目線を交えた要求説明
- オペレーターやそのリーダーによる「機能に対するお客様の反応」共有
- エンジニアからの質問
やや固そうに見えるトピックですが、会は大いに盛り上がりました。製品への愛、お客さまへの思いが溢れて2時間があっという間に過ぎ、事前に予定していた質問を半分あきらめたほどです。
結果
後日実施したアンケートでいただいた感想をご紹介します。
エンジニアの感想
- 私たちはお客様がどのように製品を使っているかが見えないので、それを知るいい機会になった。
- ユーザーに接している方からの声が聞けてよかったです。 すぐに対応できそうな機能もあるので早くリリースできる仕組みがあるといいなと思いました。
- 要求の背景、サポートの現場の苦労を知って、自分の開発の意味・意義への理解が深まった。要件定義で今までより一歩踏み込んだ考え方ができるようになったと思います。
CS本部メンバーの感想
- 製品や開発プロセスへの理解が深まりました。なぜこの機能があるのか?と思っていたことが、開発側の理由や背景なども知れてよかったです。
- 現場から要望をお伝えしても伝わっているのか分からないし、一方通行のような気持ちでいたのですが、逆に自分たちも開発の方々の事情を知らないままだったと感じました。
- 遠い存在で関わることは無いと思っていた開発の方々のお話を聞くことができ、前よりも近しい存在に感じられるようになりました。お客さまのお声をもっとお届けできるよう頑張ります!
立場は異なれど、同じ製品に携わる者同士での交流はお互いに大きな収穫がありました。
また、交流会以降、何かある時はテキストコミュニケーションだけでなく、Zoomで直接お話しするなど気軽に連携を取るようになりました。遠慮や不安による壁を取り除くことができたのかなと思います。
まとめ
同じチームの中だけでやりとりしていると思考が固定化され、どうしても新しいアイディアや改善策が生まれにくくなります。
今回私たちは実際に製品を使用するお客さまの生の声を聴き、日々お客さまと接する仲間からお客さま全体の反応を知り、我々エンジニアとは異なる観点での製品に対するフィードバックをいただきました。
これからも顧客目線醸成のための取り組みを継続し、エンジニア目線と顧客目線の両立による良い製品開発の土台にできればと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました!!
おまけ:これからやろうとしてること紹介
余談ですが、現在弥生では「会計事務所訪問」を計画中です。
エンジニアが会計事務所を訪問し、製品がどのように使われているかを現地で見せていただいて改善につなげたいと考えています。いつか記事になるかもしれないのでお楽しみに!
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